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001 スリッパのお手入れ

公園の楓の葉っぱが、ほぼ散ってしまいました。
寒さと北風により本格的な寒さへ向かっていくんだという塞ぎ込む気持ちの中に、
冬至を迎えたことで、陽が伸びていく救いのような気持ちが、この時期混ざり合います。

いわゆる大掃除を数年前から止めて、コツコツ掃除するスタイルに変えました。
年内で掃除を終わらせる、という目標もないので、なんとなく心身ともに軽やかです。
コツコツしてても、やっぱり家電製品の掃除ばかりだと、飽きてしまいます。
なので気分転換に、先週から履物の手入れに入っています。
私のように若干飽きてしまいった方や、掃除がひと段落ついた方、スリッパのお洗濯はいかがでしょう。

スリッパは洗濯後、どうしても硬化してしまいます。思っていた以上にかたいと感じてしまった場合、
スムース面(足入れする内側)に、無色のデリケートクリーム等を塗布することで、ゴワつきが軟化しやすくなります。
洗濯後の硬化そのものは、お履きいただくうちに再びやわらかくなっていきますが、いまの時期は空気中に湿度があるおかげで
硬化から軟化が早いように感じます。

革を洗濯機で洗う実験で、改めて分かったこともありました。スリッパは、洗濯機より手洗いがおすすめです。
スリッパの厚み 1.5mm(馴染んで痩せたものでも1.0mm以上あるもの)には、洗濯機の回転数は多過ぎるようです。
柔軟剤が入ると結果はまた違うかもしれませんが、乾燥後、カチカチになりました。これは、革の加工時に含まれたオイルや
身体からの皮脂が抜けてしまったことが考えられます。

また、スリッパの洗濯で色斑となり、お問い合わせをいただきましたので、色の染め直しについても記したいと思います。
まことに申し訳ないのですが、色の染め直しは承っておりません。すでに製品になっている染革作業は、
色留めができないため、汗などの水分で色落ちしやすいものとなってしまうためです。
無色のデリケートクリーム等でお手入れいただくと、革素材にとっても良く、色ムラが目立ちにくくなる場合がございますので、
お試しいくださいませ。

◎お手入れ
-- 簡単に済ませたいとき --
床に触れている面のほこりなど気になったとき、ブラッシングをしてください。
身近なものだと、使い古した歯ブラシなどでも大丈夫です。ただ、ブラシ部分が小さいので、ブラッシングし難い場合は、
シューケア用品で販売されている、歯ブラシの2倍くらいのブラシがおすすめです。
個人的に、ブラッシング作業がしやすくて、楽しく感じます。

-- すっきりお洗濯したいとき --
丸洗い可能です。※手洗いでおこなってください。
1)ブラッシング洗濯
水またはぬるま湯にスエードシャンプーや中性洗剤をいれ、スリッパを浸します。スエード(スリッパの外側)は使い古した歯ブラシなどで毛並みを整えながら、スムース(スリッパの内側)は軟らかい布で拭き取ります。
※シミなどを落としきることは難しいです。

2)すすぎ・脱水
たっぷりの水、またはぬるま湯で汚れと洗剤を落とし、乾いたタオル等で水気を拭き取ります。

3)乾燥
風通しの良いところで陰干します。
多少硬化いたしますが、履いているうちにやわらかく馴染んできます。 洗濯挟みで干す際は、履き口または踵部分をつまみ、足が入りやすいよう、丸みを作るように干しましょう。
※ストーブ等での急激な乾燥は避けてください。

作業をしていると近所の小学生が声をかけてくれました。
綿3枚くらいしか着てなかったので、寒くないか聞くと「寒くない」とのことでした。
ストーブを付けて、ウールの重ね着をした私には素直な疑問でしたが、彼女にとってはつまらない質問だったようで、
「じゃ! 忙しいから」と早々に帰って行きました。
自分の小学生時代は同じような質問に、つまらないと感じていたことを不意に思い出しました。
遊ぶこと、とにかく満喫しているこども師走を見送りました。

(文/カンダ)